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おひさま 第86号~ コロナとインフルエンザ / インフルエンザについて ~



葛西先生のお話【コロナとインフルエンザ】

 今、外来ではコロナとインフルエンザが同時流行しています。インフルエンザが夏の終わりから流行し始めるのは、小児科医になって30年近くになりますが初めてです。両方とも熱を主症状とした風邪のウイルスです(例えばRSウイルスやマイコプラズマは咳が中心の風邪で、ウイルスや病原体によってそれぞれ症状の特徴があります)。外来で受診されるお子さんの様子からこの2つのウイルスをもし見分けるとしたら、コロナのお子さんは外来で熱があっても元気な様子で、診察室でも歩き回ったりしています。大人の方がつらそうです。一方インフルエンザは子どもも大人もつらそうです。親御さんに抱っこされて受診され、ぐったり感が強い様子です。コロナは小児では熱は2日くらいで解熱し元気にしているお子さんがほとんどです。インフルエンザは通常5日程度高熱が続きますが、抗インフルエンザ薬を投与することによって、熱も2-3日に短縮できます。ともに感染力が非常に強く、家族内に1人感染者がいると、ほとんど2-3日で家族中に広がり全滅してしまい、うつらなかったらある意味ラッキーと思えるほどです。従って、家族に1人コロナもしくはインフルエンザの検査で陽性患者さんがいれば、他の家族が2-3日の間に熱や風邪症状が出てくればほぼ間違いなく同じウイルスに感染しています。従って、小児科医としては痛い思いまでして検査する必要はないと考えます。今、小児は当然無料ですが、大人は検査費用もかかります・・・。
 インフルエンザは今後しばらくこのままある程度増えていくのではと考えています。1つはここ2-3年コロナ対策のため清潔生活が続き、冬にずっとインフルエンザが流行しなかったため子どもたちの免疫がほとんどないこと。2つめにインフルエンザの予防接種はほぼ1年前の秋に接種していて、これからやっとインフルエンザの予防接種が開始されていく段階です。一般的にインフルエンザの予防接種の効果は半年程度と言われており、今は完全に免疫が切れている状況です。小児科医として子どもたちにとってコロナは外来で見ている限り軽く、一方インフルエンザは重症化するお子さんは今までも多く診てきています。これまでの免疫がなく、予防接種も未接種であるインフルエンザに対して重症化するお子さんが多くならないか、非常に危機感を持っています。お子さんはインフルエンザの予防接種をしっかりしていく必要があると考えます。
 最後に外来で検査するタイミングを確認しておきます。今までのインフルエンザやコロナ検査の経験から、当院では正確性を重視するため38℃以上の発熱があってから12時間以上経過してからおこなっています。お子さんには痛い検査は1回だけにしてあげたい思いがあります。

スタッフコラム【インフルエンザについて】

コロナウイルスの感染予防でマスク、手洗いをしている事がインフルエンザ患者を減らしていると言われ、ここ数年はインフルエンザから遠のいていましたが、この冬はどのような流行か気になりますね。そこで少し忘れかかっているインフルエンザの症状や、気をつけること、子どもに安全な解熱剤についてお話させていただきます。

どんな症状?

風邪と間違えやすいインフルエンザです。個人差はありますが、風邪に比べて高熱、喉の痛み、関節痛、筋肉痛を伴い急激に症状がでます。全身に倦怠感が現れるのも特徴です。

子ども安全な解熱剤

 原則アルピニー、カロナールやアンヒバなどのアセトアミノフェンです。6ヶ月を過ぎていれば使用することができますが、6ヶ月未満の乳幼児が使用すると体温が下がりすぎてしまいますので注意してください。

× 大人で使用するアスピリンや、一部の解熱剤。ボルタレン、ポンタールは注意が必要です。(インフルエンザ感染症と急性脳症との関連が言われています。)※この脳症はライ症候群と呼ばれ、急性脳症で嘔吐・意識障害・痙攣などの症状です。

一般的に気をつける事

十分な水分をとり、消化のよいものを食べ温かくして休むのが一番の治療
です。発熱している間はお子様の様子をよくみてあげてください。決して
1人でお留守番という事がないように!
この5月よりコロナウイルス感染症も位置づけは「5類」になり以前より変更ポイントも多く、幼稚園、学校の行事も戻りつつあり、これから発表会、卒業式、卒園式も多いかと思います。万が一お子様がインフルエンザに罹ってしまった場合でも慌てず救急を受診して何時間も待たされるより、呼吸困難、痙攣、意識障害がなければ自宅でゆっくりと休んで翌日受診で大丈夫です。よく、お子様の出番だけ写真を撮りに行ってもいいですか?と聞かれますが、もちろん他のお子様にも移りますし、まず自分のお子様の体調はどうでしょうか?熱がでてすぐに検査をして下さいとも言われますが、発症してある程度ウイルスの量が増えてないとインフルエンザ陽性の反応が難しく、当院では38度以上の熱12時間以上経ってからの検査をお勧めしています。
まずはお父様、お母様が正しいインフルエンザの知識を身につけましょう。