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おひさま 第13号~共同注意って?/本の読み聞かせ~



かさい先生のお話【共同注意って?】

「共同注意」って聞いたことがありますか?多分ない方が多いと思います。発達外来をしていますが、お子さんの発達歴で大切な所見の一つでもあります。非言語的コミュニケーションの反応で、他者が何かに注意を向けていることに気づき自分も同じ対象に注意を向ける反応です。とは言っても何だか難しいですね。具体的な例を挙げると、お母さんと子どもが手をつないで散歩しています。お母さんが空に飛行機が飛んでいるのを見つけました。それをお母さんが見ていると、子どももお母さんが見ているのに気が付いてその飛行機を見るようになる反応です。つまりお母さんと子どもが飛行機に対して注意を共有する関係性のことを言います。

一般的な発達のお子さんは1歳前後でこの反応がみられるようになります。一方発達に特徴を持ったお子さんは出現が遅く3歳以降になってやっと出てくるとされています。自閉症の方の早期療育でも共同注意を意識しながら発達を促していくことが大切と言われています。なぜこの反応を取り上げるかというと、この反応の遅れが一般的な発達のお子さんにも出るリスクが近年高まっていると考えられているからです。その大きなリスクが親のスマホの利用です。療育者がスマホに目を向けたまま、子どもの要求に視線を合わせず、よそ見をしながら、適当に返事をしている子育ての光景をよく目にします。共同注意の作業が行われないような子育てです。医学、心理学、教育学の分野でも共同注意は言葉の学習、コミュニケーションの獲得に非常に重要であることが言われており、この共同注視をともなう反応の繰り返しが、子どもの社会性や言語、コミュニケーションの発達に決定的に影響してきます。最近、電車やバスに乗ると大人や若者はかなりの数でスマホにずっと見入っています。いざ子育ての時期になった時に、子どもとの関わり合いでこのような習慣が止められないと、共同注意の作業がいい加減になってしまい、今後社会性やコミュニケーションに問題がでてくるお子さんが増えてきてしまうのではないかと大変危惧されています。親は子どもに寄り添い関心を共有しながら関わっていくことがますます大切だと思います。

スタッフによるコラム【本の読み聞かせ】

絵本の読み聞かせといえば、子どもとのふれあいの定番ですね。
暑くて外出を控えているそんな時、ちょっと読み聞かせでもしてみようかなと思えるお話しをしたいと思います。

読み聞かせの効果

絵本の読み聞かせは子供にいいとされています。語彙数が増える、集中力がつく、想像力が育つなど様々な効果が言われています。
しかし、これらはあくまで「結果」であって「目的」ではありません。大切なのは読み聞かせを通して親子で同じ時間を共有することで絆が深まり、お父さんやお母さんの声を聞くことで愛情を感じることができる。つまりテレビなどのように一方通行でなく読み聞かせは親と子の双方向のコミュニケーションの手段となりうることなのです。

読み聞かせで大切なこと

「読んであげなきゃいけない」と負担に感じないでください。「読み聞かせてあげたいという思いがあっても子どものことなので勝手にページをめくったり、読んでいる途中で飽きてしまったり、同じ本ばかり読まされることもあると思います。そんな時は無理に続けずページをめくらせ、あきたらやめて、同じ本でも子どもが気に入っているなら読んでください。大切なのは、読んでもらっている子供たちだけでなく読んでいる大人も楽しい時間をもつことなのです。「読み聞かせの効果」でも述べたように読み聞かせは親と子のコミュニケーションの手段であり教育ではありません。絵本を通して親子の対話が子どもにとって一番の宝物となるのです。

親子で楽しめてそれが子供たちのためになるのなら、素晴らしいことですね。
あまり難しく考えずに今日から始めてみてはいかがですか?