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おひさま 第30号~インフルエンザの治療 /喫煙が与えるこどもへの影響~



おくむら先生のお話【インフルエンザの治療】

インフルエンザが流行しています。毎年のことですが、メディアなどで頻回に取り上げられ、恐怖心をあおる傾向があります。そこで今年度、日本小児科学会がだしたインフルエンザの治療指針を紹介します。
まず、はじめにインフルエンザは薬がないと治らないと思っている保護者の方が多いと思いますが、薬がなくても、1週間程度ゆっくり休んでいれば自力で治ります。タミフル等の抗インフルエンザ薬が出る前の10数年前までは対症療法のみで、なおしていました。日本小児科学会の治療指針を示します。
  • 幼児や基礎疾患があり、インフルエンザの重症化リスクが高い患者や呼吸器症状が強い患者には投与が推奨される。
  • 発症後48時間以内の使用が原則であるが、重症化のリスクが高く症状が遷延する場合は発症後48時間以上経過しても投与を考慮する。
  • 基礎疾患を有さない患者であっても、症状出現から48時間以内にインフルエンザと診断された場合は各医師の判断で投与を考慮する。
  • 一方で、多くは自然軽快する疾患でもあり、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではない。

上記のとおり、持病のない小児、さらにいえば大人も(老人は別です)抗インフルエンザ薬は必須ではなく、症状があれば考慮する程度です。
とはいえ、高熱のお子様をみると、少しでも早く熱がさがればと思うので、処方することが多いのですが・・。症状(高熱など)がない場合は、投与は必要ないと当院では考えています。

また家族でインフルエンザが出た場合、予防投与についてきかれることが時々あります。
薬によっては予防投与可能ですが、予防投与の対象は、添付文書上は同居している持病(慢性呼吸器疾患や心疾患、代謝性疾患(糖尿病等)腎機能障害)のある者となっています。
受験生がいる、旅行に行きたいなどの理由は入っていません。予防投与の対象であっても、自費になります。自費ですと薬代が5000円前後、それに診療代がかかるので、トータルで8000円前後になるかと思います。
最後に日本小児科学会ではインフルエンザワクチンの接種を推奨しています。接種してもかかってしまうこともありますが、重症化を防ぐといわれています。

スタッフによるコラム【喫煙が与えるこどもへの影響】

近年は喫煙に関して厳しくなり、街中でも喫煙できる場所が限られています。
お子さまの身体にとって、決して良い影響を与えるとは言い難い喫煙ですが、同居者の誰かが喫煙者、というご家庭も少なくないと思います。大人と違い、子どもは身体が小さく、機能も未熟なため、タバコの煙の影響を想像以上に受けやすく、病気にもなりやすいです。
子どもにどのような影響があるのか、代表的な例をお伝えします。

中耳炎、気管支炎、気管支喘息などの病気…子どもの周りでタバコを吸うことにより、煙がお子さまの呼吸器の成熟を遅らせることになります。受動喫煙により、免疫が低下するため、気管支に悪影響を与え、症状が重症化しやすくなると言われています。

身体の成長阻害…タバコの煙に含まれる鉛や酸素不足により、身長の伸びに悪影響を与えると言われています。
知的能力の成長阻害…タバコの煙に含まれる鉛や脳に酸素が十分に行き渡らないことにより、脳の働きが悪くなり、知能の低下を招くと言われています。
家の中でも喫煙場所を決めているご家庭、家の中では喫煙せず、外で吸ってから家の中に入ることを徹底しているご家庭、いろいろかと思いますが、窓の隙間、着ている衣服、喫煙者から出る息、さまざまな場所からタバコの煙が漂い、その結果、お子さまの受動喫煙につながっていることは確かです。
お子さまのこれからの身体のことを考え、タバコとの関わり方を再度見直すきっかけになるといいかなと思います。お父さん、お母さん、ご家族の方が健康でいることはお子さまの成長の影響にもなります。健康のために喫煙について考えてみてください。

最近は、電子タバコを使っている保護者の方も多いのかと思いますが、電子タバコは煙は出ませんが、周りに蒸気を拡散します。その蒸気をお子さまが吸うことで、結果、受動喫煙と同じ状態になります。
できることなら、禁煙をおすすめしたいところですね…