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おひさま 第33号~体作りは大切です /“噛む”ことってとても大切なことです!~



かさい先生のお話【体作りは大切です】

最近たまたま、高校の先生とお話をする機会がありました。先生は成績のよいクラスの生徒さんと、成績が振るわないクラスの生徒さんでは、明らかに教室での生徒さんの姿勢が違っていることがずっと気になっていたようです。確かにテレビドラマなどで勉強が苦手な不良っぽい生徒さんの姿勢は、足を椅子の前に投げ出し、椅子に反り返って座っていると言うイメージです。不良っぽいイメージをかもし出すためにそうしているのかなと思っていましたが…。医学的に発達性協調運動障害(異常とまでは言えないが、体が不器用でうまく使えないお子さん)の観点からある程度説明できるのではと考えるようになりました。体が上手に使えないから、日常生活もすぐ疲れてしまって、いろんなことがかったるくてできず、勉強も効率よくおこなうことができないために、学習も苦手になってしまうのではと…。

少々姿勢が悪くてもあまり問題ないのではと思われるかもしれません。しかし、姿勢の維持は日常生活や学習面に大きく影響しています。人間は姿勢を維持させるための大きな筋肉がまず発達しないと、細かな筋肉の動きが上手く発達しません。子どもの発達はご存じのとおり、「首が座る→お座りする→立つ→歩く→手の細かい運動ができる」と体幹から順番に細かい運動ができるように発達していきます。最近よく、スポーツ選手が体幹トレーニングに取り組んでいます。それは高度な細かい運動ができるようになるためには、体幹を作っていかなければならないと考えられているからです。
体が上手に使えないと、思った以上に日常生活では疲れやすくなります。日常生活の様々な場面で自分が思っているように体がスムーズに動かせず、作業にも時間がかかります。思い通りにいかなければ精神的にもイライラしやすくなってしまいます。学習面では細かな動きや、左右の協調運動が上手にできないと、字を書いたり、定規やハサミ、コンパスなどの道具を使ったり、黒板を見たり(目の動きも細かい筋肉の動きです)、いろんな細かい作業をするのも大変です。例えて言うと右利きの人が、左手で学習をしているようなものなのでしょう。左手で勉強をしなさいと言われたら、30分もしていたら疲れ切ってしまい、意欲を持って集中して効率よく学習することができないと思います。姿勢維持の苦手なお子さんは、日常生活や学習面での苦労が多いと考えられます。最近外来をしていても、発達性協調運動障害の特徴をもった不器用なお子さんが増えていると感じます。したがって、意識しなくても姿勢がしっかりと維持でき、体を器用に使えるような体作りが非常に大切だと思います。

スタッフによるコラム
【“噛む”ことってとても大切なことです!】

最近、よく噛んで食べることができない、硬いものが食べられない子どもたちが増えてきています。“噛む力”がないために顎の発達が不十分であったり、歯並びがよくない子どもたちが増えているといわれます。
“噛む力”は、離乳食幼児食を通して練習することによって身につけていきます。1歳すぎから3歳頃に乳歯列が完成しますが歯の発達は個人差がおおきく、このころに月齢で食事の形態を決めると柔らかすぎたり、硬すぎたり…と“噛む”ことをせず、飲み込んでしまう癖がついてしまうこともあります。噛むことを覚える時期に、飲み込むことを覚えてしまいます。
また、“噛む力”が育たない原因として、ファストフードの発展があり『柔らかく、定番の味付けで、気軽に手に入る』食べ物が身近に増えています。食習慣の変化から“噛む”こと以前に食べることそのもの(季節の食材を味わうなど)に関心が薄れているともいわれています。

よく“噛む”ことでどんな効果があるの?

①食べ物の消化をしやすくする
噛むことにより食べた物を飲み込みやすくなり、噛むことによって唾液や消化液の分泌量が増えて食べ物の消化がしやすくなります。
②食べることの満足感や喜びが得られる
噛むことにより、満腹中枢が刺激され満腹感が得られ、さらに食材そのもののうま味もでるため食べ物をより味わうことができ、肥満予防につながります。

③食物に混ざっている異物を発見できるようになる
口の中前部、唇、舌先の感覚は敏感で、噛むことにより食べ物に混入した異物を発見することができます。
④口腔内の自浄作用がある
口腔内の各組織が活発に動き、細菌の繁殖を減らします。また、歯に付着した食べ物のかすなどを取り除くこともできます。虫歯予防につながります。
⑤顎や口腔組織の発達に役立つ
咀嚼機能の発達、歯の発育にも役立ちます。
⑥脳内の血液量の増加
大脳の働きを活発にします。「朝ごはんを食べましょう!」と学校などでいられるのはこのためです。
ふだん何気なく食事をしていますが、“噛む力”は食べ物を食べるための力だけでなく、体づくりになること、生活をよりよくする事、さらに心の発達に繋がっていきます。

ぜひお子さんと家庭での食事を楽しんでください。