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おひさま 第51号~ 学習障がい(ディスレクシア) / 溢乳と嘔吐 ~



かさい先生のお話【学習障がい(ディスレクシア)】

発達とこころの外来では学習障がいの診療をHPでうたっていることもあり、読み書きの困り感で受診されるお子さんが増えています。学習障がいのカテゴリーは系統だった分類がまだ不十分な概念だと思っています。学習障がいの中核は「ディスレクシア」と言われる音韻認識の障害と考えられています。音韻認識とは簡単に言うと文字と音がしっかり貼りついていないためにおこっていると考えられています。すなわち「あ」という文字に「a」という音の貼りつきがよくないために音読に時間がかかったり、たどたどしかったり、間違えたりします。ディスレクシアは英語圏に多いとされています。英語は言語的に音の粒が細かく、不規則性が高いため多くみられ、日本語(特にひらがな・カタカナ)は音の粒が大きく規則性があるため少ないとされています(ただ、漢字になってくると文字の形状の複雑さや音読み訓読みの不規則さなどで難易度が高くなってきます)。そのため英語圏では以前より研究や理解が進んでいる一方で、日本ではまだまだ発展途上と言う印象を受けます。音韻認識の問題以外に読んだり書いたりする能力には、視覚認知(見た物を正確にとらえる力)や協調運動(体を上手に動かす力)、視機能(眼球運動)、視覚過敏(文字と背景のコントラスト)、ADHD(不注意面)などが影響しています。クリニックを受診されるディスレクシアのお子さんは、小学校中学年以降の方が多く相談に来られます。その時点で来られるお子さんはほぼ間違いなく勉強が大嫌いになっています。自身の希望としては小学校低学年で見つけてあげて、勉強が嫌いになってしまう前の早い段階で教育的な支援や医療的なリハビリを受けていけるようになるのが理想です。そのため早期発見が大切です。まず気づきとしては、年長児のほぼ8割はひらがなが読めると言われています。したがって年長の頃からひらがなが読めるか注意しながら、小学校に入学し夏休み明けになっても音読に苦手さを感じるようであれば早めに受診していただくように親御さんや小学校の先生には注意を払っていただきたいと思っています。現在トレーニングによって、読む速さや正確性が改善される効果もわかってきています。しかし完全に不自由なく読み書きができるわけではなく、学習課題が急激に増え難しくなってくる小学校中学年以降ではICTなどの様々な補助手段を積極的に活用することで学習をしやすくすることが大切になってきます。

スタッフコラム【溢乳と嘔吐】

生後間もない赤ちゃんに吐き戻しが多いと心配になりますよね。
「よく吐いてしまうんです。」と、心配をして受診されるお母さんもよくみられます。生後間もない赤ちゃんの吐き戻しは、出方によって溢乳(いつにゅう)と嘔吐の大きく2つのパターンに分かれます。
溢乳とは、授乳後に口から少量の母乳やミルクがだらだらと出てくる状態を指します。

吐き戻しの原因として

ゲップ不足
赤ちゃんは、母乳やミルクを飲む際に空気も一緒に飲み込んでしまいます。
空気を飲む量が多いと、授乳後にゲップをさせないと吐き戻しやすくなるので、授乳後にゲップをさせてあげるよう心がけましょう。ゲップをうまく出せない場合は、赤ちゃんの顔と身体を横向きにして寝かせて、寝ている最中に吐き戻した吐物がのどに詰まらないように気をつけてあげましょう。背中側に丸めたタオルなどを挟むと簡単に横向きにできます。

飲みすぎの可能性
生後間もない赤ちゃんは、「お腹がいっぱい」という感覚があまりありません。
本当は足りていたとしても赤ちゃんは与えられるままに飲み続け、飲んだ量が多すぎてたくさんの量を吐き戻すことにつながります。また、赤ちゃんの胃は筒のような形をしていて、胃の入り口の筋肉が未熟なので吐き戻しやすいのも特徴です。
一方の嘔吐は、授乳後に多くの量を一度に吐く状態、または飲んだ母乳やミルクを勢いよく吐き出す状態を指します。嘔吐の場合は生理的なもの以外の要因がひそんでいる可能性があり、その他に見られる症状によっては危険な場合もあるので、注意が必要です。
おっぱいやミルクのあとに、吐くことが多いと心配になると思いますが、吐いても機嫌が良く、その子なりに体重が増えていれば問題はないでしょう。

体重がなかなか増えない、不機嫌、顔色が悪い、発熱・血便・下痢
などの症状を伴う場合は、一度医療機関を受診した方がいいでしょう。