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おひさま 第61号~ 知的境界域 / 夏頃に多い病気 ~とびひ(伝染性膿痂疹)について~



葛西先生のお話【知的境界域】

 発達とこころの外来では、発達面の評価をするために発達検査をおこなうことがあります。
皆さんもよく知っている知能指数(IQ)を検査します。実際にはIQだけでなく、お子さんの得意不得意などもう少し細かく評価をおこないます。最近では知能指数で知的障害と分類することには賛否がありますが、通常はIQ85以上が正常知能、84~70が境界知能、70未満が知的障害と分類されています。検査結果を親御さんに説明する際に、境界知能は知的障害の範疇ではないのでイメージがわかない親御さんが多い印象を受けます。
 知的境界域のお子さんのイメージは簡単に言うとどのようなものでしょうか。知的境界のお子さんはクラスの中では成績が下から5番目くらいまでの子どもたちに相当します。そのため、学校の授業についていくためにかなりしんどさを抱えています。丁寧にゆっくりと根気よく教えてあげないと理解がすすんでいかないお子さんたちです。一般的に小学校1-2年生は読み書き計算とまだ単純な勉強なのでなんとかついていけますが、小学校3年生くらいから課題の内容が複雑でボリュームが多くなってくると勉強についていけなくなることが多いと感じます。また普段の生活ではいつもと同じことはわりとそつなくできる一方で、初めてのことや、いつもと違ったことが生じた時、臨機応変な対応がとれなくて困ってしまうことが多いお子さんです。更に学校・教育での問題点は、支援の枠に入りにくいお子さんです。例えば、70未満で知的障害の診断や84~71の知的境界域でも発達障がいが併存すれば、特別支援学級や通級指導教室などの支援がスムーズに受けられる一方で、知的境界のみのお子さんだと、本来は手厚い支援が必要なのですが、現状のシステムでは支援が受けられないか、受けにくいお子さんたちなのです。
 知的境界域のお子さんに関しては自身も今まではイメージがつきにくいところもありました。最近まで医学的に知的境界域のお子さんに関して詳しく書かれたものもなく、読んだこともありませんでした。昨年、新書でベストセラーにもなっていた「ケーキの切れない非行少年たち」児童精神科医の宮口幸治先生が知的境界域の子どもたちに関して一般向けに非常にわかりやすく書いてありました。そのような子どもたちに対して、医学・教育学的にアプローチの方法もわかりつつあります。興味のある方は一度読まれることをお勧めします。

スタッフコラム【夏頃に多い病気 ~とびひ(伝染性膿痂疹)について~】

とびひ(伝染性膿痂)とは、細菌を原因とした皮膚の感染症です。
傷口や虫刺され、湿疹などを掻きこわして傷ができた部位に細菌が感染して、水ぶくれやかさぶたが出来る病気です。
患部を掻いた手で他の場所に触れると、次々と全身に広がってしまいます。他の人にも感染するので、注意が必要です。乾燥肌やアトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している場合にも起こりやすいです。
原因菌となるのは主に、「黄色ブドウ球菌」や「溶血性レンサ球菌」という細菌です。これらはめずらしい細菌ではなく、健康な人の皮膚や鼻、喉の中などによくいる常在菌ですが、皮膚に出来た傷から入り込んだときにとびひを起こす原因となります。

とびひの治療方法

症状にあわせて、抗生剤の入った軟膏や飲み薬を使用します。
かゆみが強い場合にはかゆみを抑える薬を使うこともあります。
また、患部をよく洗って清潔に保つことが大切です。

ご家庭で気をつけること

・患部の清潔を保つことが大切です。
石鹸を泡立てて患部をよく洗い、シャワーでしっかり洗い流しましょう。
・他の人にうつるため、タオルや衣服は共用しないようにしましょう。
・ガーゼや包帯などで患部を覆って、接触しないようにした状態での登園・登校は可能です。
(園や学校によって対応が異なることがあるため、各々の指示に従ってください。)
・プールはとびひが、かさぶたになって乾燥するまでは入れません。
・普段から爪を短く切り、掻きむしって皮膚を傷つけないように気をつけましょう。
とびひは、ひどくならないうちに治療を始めるとより早く治すことができます。気になる症状があれば、早めに医療機関に受診しましょう。