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おひさま 第9号~乳児にはちみつをあげてはいけません!/赤ちゃんのあせも~



おくむら先生のお話
【乳児にはちみつをあげてはいけません!】

最近離乳食にはちみつを使用して、亡くなった赤ちゃんのニュースが流れました。1年ほど前、“乳児にはちみつをあげてはいけません”と題して、院内報にのせさせていただきました。その時の記事をもう一度・・・。
1歳未満の乳児にはちみつをあげてはダメ! なぜだめなのでしょうか?
それは乳児ボツリヌス症の危険があるからです。
ボツリヌス菌は海、湖、川などの泥砂中にいる細菌で、熱に強い芽胞を作ります。この菌は一定以上の条件がそろうと猛毒のボツリヌス毒素を作ります。この毒素に汚染された食品をとるとボツリヌス食中毒を発生します。症状は毒素のついた食品を食べた8~36時間後に吐き気、嘔吐、視力障害、言語障害、物が飲みこみずらくなるなどの神経症状がでます。重症例では呼吸麻痺により死亡します。1歳未満の乳児が発症すると乳児ボツリヌス症といい、潜伏期間は3~30日と長く、便秘が数日間続き、全身の筋力が低下する脱力状態となり、哺乳力の低下、泣き声が小さくなる、よだれが多い、無呼吸等の麻痺症状がでます。
芽胞は通常の加熱では死滅しませんが、食中毒の直接の原因となる毒素自体は80度30分間の加熱で失活します。このため材料をよく洗い、十分に加熱すること、その後の保存方法(3度未満で冷蔵、または-18度以下で冷凍)などに注意をすれば、大人の場合は芽胞を摂取しても食中毒にはなりません。大人の場合は、芽胞を摂取しても大腸の正常な細菌叢によりボツリヌスの芽胞が増殖することはないので毒素は発生せず、食中毒にはならないのです。1才未満の乳児の場合、大腸の正常細菌叢がしっかりと形成されていないので芽胞を摂取すると大腸で増殖し、毒素を発生し、乳児ボツリヌス症を発症します。1才をこえると正常な大腸の細菌叢ができあがるのでその心配がなくなります。

ではどんな食品から感染するかというと、缶詰、びん詰め、真空パック、いずしなどです。特に自宅で作る場合は注意してください。乳児の場合、このような食品以外に気を付けないといけないのが、はちみつです。ミツバチは芽胞のついた花粉を運ぶのでミツバチが芽胞に汚染され、はちみつも汚染されることになります。
このため1才未満の子にはちみつを食べさせてはいけないのです。

スタッフによるコラム【赤ちゃんのあせも】

あせもは、赤ちゃんに多い皮膚トラブルの一つです。
赤ちゃんの体は体温が高く、年中汗をかいています。これから夏になっていき、さらに汗の量も増えていくので気をつけたいですよね。
赤ちゃんにあせもができやすい原因は、大人よりも2~3倍の汗をかくことです。赤ちゃんは、体の機能が未熟なため、汗で体温調節しています。そのため、大量の汗をかきますが、汗腺もまだ未発達なので分泌された汗が汗腺に詰まりやすい状態になります。さらに、汗腺の数は大人も赤ちゃんも同じなので、体の面積が大人よりも少ない分、汗腺が密集していることもあり、汗が溜まりやすく不衛生な状態になりやすいといわれています。

皮膚トラブルから赤ちゃんの肌を守るためには・・・

皮膚を清潔に保つ
お散歩やお昼寝のあとなど、汗をかいていたらシャワーで流したり、タオルで汗を拭きとってあげましょう。
肌の保湿ケアをする
冬だけでなく、夏も入浴後や汗をかいたあとはしっかり保湿してあげましょう。
「夏は保湿しなくて大丈夫」と思っていませんか?
赤ちゃんの肌の水分量は大人の半分以下しかなく、夏でも乾燥しています。保湿して赤ちゃんのバリア機能を高めて、お肌そのものを強くしてくれる効果があります。
部屋の温度を調節する
夏場はクーラーを上手に利用して、汗を必要以上にかきすぎない環境作りをしましょう。室温を外気温-5℃を目安に設定し、赤ちゃんの体に直接風が当たらないよう調節します。
服装に気をつける
汗を良く吸う素材や、乾燥性のある薄手の素材の服を着せてあげましょう。また、暑がりで汗っかきな赤ちゃんは、「大人より一枚少なく」が原則です。おむつの中も蒸れやすいので、夏場はこまめに交換したり、交換時に少し風に当ててあげたりして乾燥させてあげるといいです。

あせもの症状によってひどくなった場合は、ステロイドを塗って治すこともあります。ステロイドは、使い方を守って使えば問題ありません。
これから暑い季節になりますので、赤ちゃんの皮膚トラブルからお肌を守ってあげましょう。