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おひさま 第94号~ 溶連菌感染症 / 手足口病とヘルパンギーナ~



かさい先生のお話【溶連菌感染症】

 コロナの5類以降から以前の生活様式に近くはなっていますが、小児科の一般診療をしていると子どもたちの様々な感染症の流行パターンが変化し、コロナ以外の感染症も増えているように感じます。とくに溶連菌感染症はずーっと続いている印象です。今まではある程度流行しては1か月程度すると収束といった感染パターンだったのが、とにかく長く流行が続いています。最近ニュースで人食いバクテリアと言われる溶連菌感染が過去最高の発生件数で話題になっているのをしばしば目にします。いわゆる溶連菌感染の劇症型で子どもではほとんどみることはありませんが、中高年の方に起こりやすく命に関わる病気です。おそらくコロナ禍の過度な清潔生活によって、溶連菌に対する免疫の低下や、子どもたちの間でずっと感染が広がっていることが影響しているのかもしれません。
 子どもの溶連菌感染の特徴は発熱、咽頭痛で、体から手足に特徴的な発疹が出ることも多いです。お子さんの中にはイチゴ舌と言われるプツプツとした舌が目立つこともあります。溶連菌は喉の所見が極めて特徴的で、口蓋垂(のどちんこ)のあたりが真っ赤でプツプツしています。迅速検査もしますが、小児科医であれば咽頭所見をみればほぼ視診で判断ができることが多いです。迅速検査をさせてもらっていますが、喉をこする検査なので、インフルエンザやコロナの検査でするような鼻からの痛い検査ではないので、お子さんにとってはまだ侵襲的な検査ではないでしょう。診断がつけば、治療は抗生物質の種類によって5~14日程度しっかりと内服する必要があります。抗生物質を飲み始めると、発熱や咽頭痛は速やかに改善されることが多く、2日も内服していれば感染力もほとんどなくなってきます。溶連菌は腎炎などの合併症を引き起こすと言われており、合併症を予防する意味でも抗生物質をしっかり処方された分は飲みきる必要があります。3-4週間後に腎炎の兆候がないか尿検査を確認します。
  特に最近は、家族内で感染し合うことが以前より多いと感じます。インフルエンザやコロナほど感染力が強くないはずですが、お子さんが園や学校で感染して家庭内に持ち込むと、親や兄弟に順番に感染していきます。最初に感染したお子さんが治療で治った後、順番に感染し最後に感染した親やお子さんから、再度治っていたはずの最初の子に再感染し、また家庭に広がっていく例もみられています。

スタッフコラム【手足口病とヘルパンギーナ】

 夏になるとよく出てくる感染症なのですが、知っていますか?俗にいう『夏風邪』のひとつです。夏に流行がよく見られるもので有名な感染症が3つあります。手足口病ヘルパンギーナプール熱(咽頭結膜熱)です。これらのことを3大夏風邪というように呼んだりもします。
 今回はその中から、手足口病とヘルパンギーナについてお話しします。原因となるウイルスは、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなどの色々な種類のウイルスがあります。このため違う型のウイルスが流行すると何度もかかることがあります。

手足口病
熱は比較的微熱であることが多いです。
手のひら、足の裏、口の中に水疱ができます。
手・足・口の中だけではなく、
ひじやひざ、おしりにも水疱ができることがあります。

ヘルパンギーナ
38℃以上の高熱、口の中に水疱ができることで痛みを伴います。

治療法・ホームケア
 ウイルス性の夏風邪なので、特に特効薬はありません。基本的に熱が出ても数日で下がり、1週間程度で症状が落ち着いていきます。発熱でぐったりしている時や、口の中に水疱があり痛みを伴う場合は、我慢せずに解熱鎮痛剤を使用しましょう。
 また、高熱が出ている時やのどの痛みがある時は食欲が低下することがあるので、水分を積極的に摂取して脱水に注意してください。口の中の水疱が潰れてしまうと痛みが強くなり、食事が難しくなります。その場合は、刺激の強いものは避けて、乳製品やのどごしが良く口あたりの良いものを取るようにしましょう。

感染経路
 感染経路は、飛沫感染と、接触感染糞口感染です。
回復後も1か月ほど便からウイルスが排泄されるので、お子さんの便を処理した場合は、特に念入りに手洗いをしましょう。

登園について
 手足口病、ヘルパンギーナは、発熱がなく(解熱後1日以上が経過)、水疱が残っていても登園が可能となりますが、保育園や幼稚園によって、発疹が残っていると登園ができない所もあるので相談の上で登園するといいでしょう。