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おひさま 第78号~ 子宮頸がん予防・HPVワクチン / 子どもの転落事故 ~



奥村先生のお話【子宮頸がん予防・HPVワクチン】

 HPVワクチンは、「積極的に接種を勧奨することを、一時的に差し控えるよう」にとなっていましたが、R3.11.26よりこの指示が廃止されました。これは接種後の慢性の痛みや運動機能障害などいわゆる「多様な症状」とHPVワクチンとの因果関係を示す根拠が証明されなかったこと、いち早くHPVワクチン接種を取り入れた諸外国のデーターで子宮頸がんだけでなく、前がん病変の発生、HPV感染が有意に低下していることが報告されたためです。さらに今年4月から、定期接種に使用できた2価(サーバリックス)、4価(ガーダシル)の2種類のワクチンに加え、外国では主流となっている9価のワクチン(シルガード9)が定期接種として接種できるようになります。
 日本では年間1万人が子宮頸がんにかかり、約2800人が死亡しています。特に最近は50歳未満の若い女性の子宮頸がんが増えています。早期に発見でき、子宮頸部円錐切除で子宮が温存できたとしても、再発やその後の妊娠における流産・早産のリスクが高まり、将来の妊娠・出産に影響がでます。ほとんどの子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で起こります。HPVは男性にも女性にも感染するありふれたウイルスで、性経験のある女性なら、その80%は感染しているといわれています。HPVは200以上の型がありますが、子宮頸がんの原因となるのはごく一部です。その中でも高リスクと言われているのが16,18で、特にこの2つはがんの進行が早いといわれています。子宮頸がんの日本人女性の、全体では64.9%がこの2つの型で、20代に限定すると90%、30代で75.9%です。これまでの2価、4価のワクチンには、この16.18が含まれますが、4月より定期接種に加わる9価にはこれに加え31.33.45.52.58を含み、全体の90%をカバーします。

 HPVワクチン定期接種の対象は小学校6年生から高校1年生の女の子です。対象者は無料でHPVワクチンを接種できます。またキャッチアップ接種があり、H9年から19年度生まれの女性の中で、定期接種の期間にワクチン接種を一度も受けていない方、もしくは3回の接種を完了していない方が対象で、R4.4月〜R7年3月の3年間無料で接種できます。過去に1回でも接種しているかたは、基本同じワクチンの接種となります。
ただしワクチンのみで100%予防できるわけではありません。成人になったら子宮がん検診も定期的にうけましょう。そして、若い女性の命と将来生まれてくる命を守りましょう。

スタッフコラム【子どもの転落事故】

 最近、マンションなど高層住宅から幼い子どもが転落する事故が相次いでいることをよく耳にします。そこで今回は、住居などの窓やベランダから子どもが転落する事故を防止するためのポイントを調べてみました。
 子どもの転落事故は一人で歩き始める1~2歳頃から増え始め、3~4歳でもっとも多くなっています。3~4歳の頃は好奇心や自我が芽生え興味本位で何でもやりたがり、走ったり、登ったり活発な動きができるようになり、窓を開けたりベランダにでる機会が増える夏から増加しています。 また、発達段階によっても事故が起こりやすい場所、状況が変わりますが遊具、家具、抱っこ、おんぶ、階段、窓、ベランダと様々なところにあります。

【窓やベランダ周辺の環境作り】
◆窓、ベランダの手すり付近に足場になるようなものを置かない。
(特にエアコンの室外機の置き場所)
◆窓、網戸、ベランダの手すりなどに劣化がないかを定期的に点検をしましょう
◆窓を閉めていても子どもが勝手に開けないよう窓や、網戸には子どもの手の届かない位置に補助錠を付けましょう。(換気をする際も同様です)
【子どもの見守り、子どもの教育】
◆子どもだけを家に残して外出しないようにしましょう。
◆窓を開けた部屋やベランダでは子どもだけで遊ばせないようにしましょう。
◆窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄りかかったりさせないようにしましょう。
※建築基準法で定められている2階以上のベランダの手すりの高さは1m10㎝です。それを超える1m20㎝、1m40㎝までの柵を準備して子どもが足場なしでも乗り越えられるか検証したところ、その結果3歳の6割以上の子どもが1m20㎝の柵を乗り越えました。又、5歳の7割以上が1m40㎝の柵を乗り越えました。その時間はわずか10秒だったと言う事です。
 常に子どもから目を離さずにいることには限界があます。子どもの見守りと合わせて転落事故が起こらない環境づくりを行いましょう。