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おひさま 第83号~ ネットやゲーム / 熱中症と子どもの置き去り ~



葛西先生のお話【ネットやゲーム】

先日子どもの発達とこころの勉強のため久しぶりに東京に出張に行ってきました。「発達とこころの外来」で出会う子どもたちからいろいろと勉強をさせていただきながら、自身も新しい知識を得るために学会、勉強会、講演会など自分の知識をアップデートしながらお子さんやご家族の方に還元できればと思っています。

 東京の講演会で、非常に興味深く聴講させていただいたのは、親御さんが外来でよく質問をされるネットやゲームに関してのご講演でした。様々な調査がおこなわれた中で興味深かったのは、まず1つはネットやゲーム業界はとにかく個人から膨大な情報を集めて、いかにネット・ゲームに長時間視聴したり、閲覧したりしもらえるのか、統計学的に分析・解析をして人がはまりやすくなるように作っていることです。皆さんにも経験があるのではないでしょうか?ネットである買い物をするとその後興味を引く関連商品が次々と画面に出てきて購買意欲をそそります。そして、そこまで必要はないけど、なんとなくポチッとしていないでしょうか?自分もやってしまっていますが(^^)大人が常にこんな調子ですから、まして前頭葉が未発達である子どもはてきめんです。ゲームもいかに長い時間使用してもらえるか様々な情報を収集し、例えばやっつけられる敵の数や欲しがるようなアイテムなど顧客情報を分析・解析してとにかく収益が得られるような形態に常にアップデートを繰り返しているようです。もう1つはゲームやネットは1日の使用時間が2時間を超えるようになると自分でゲームやネットの利用時間を制御できない子どもたちが急激に増えていくことです。外来でもよく「ゲームやネットは何時間だったらいいですか?」と質問されます。今までは「1-2時間かな?」と根拠のない答えをしてしまっていましたが・・・。調査によると、1時間/日程度の使用が妥当で、一つの分岐点はいくら長くても2時間/日のようです。ただ、2時間未満でも30%程度、2時間以上では一気に50%以上ネットやゲームを自分でコントロールすることが難しくなるようです。もう一つはネットやゲームなどを長時間(3時間以上)おこなっている子どもたちのデーターでは、親(母・父とも2時間以上利用している)も明らかに使用時間が長いと言うことです。子どものネットやゲームの使用は親の影響も極めて高いこともわかってきたようです。親も子もネットの使用時間が長いため当然親子の会話や関わり合いの時間も短くなってきます。親子の会話や関わり合いが少なくなれば、コミュニケーション能力、対人関係能力、家族関係など、子どもの成長や家族に様々な問題が出てきても全く不思議はありません。

スタッフコラム【熱中症と子どもの置き去り】

夏は熱中症が最も多くなる季節です。炎天下にいると、大量の汗で体の水分や塩分が失われ、体温調節がうまく出来なくなってしまいます。
症状 対応
めまいがする、顔色がわるい、頭が痛い、お腹が痛い、嘔吐をする、足などのこむらがえり、全身がだるい 冷房の効いた部屋や、風通しのよい涼しい場所に寝かせて安静にする。冷水で濡らしたタオルで頭・手足・全身をふき、氷枕や氷のうで冷やす。乳児用イオン飲料などを少しずつ飲ませる。→しばらく経っても回復しなければ病院を受診
ふらふらしている、ぼーっとしている、睡眠がとれているのにあくびをしていたり、汗を大量にかいていたりする 危険信号、病院へ連れて行く
倒れて意識がない、けいれんを起こした 命の危険がせまっている、救急車を呼ぶ

よく起こる熱中症は、車に子どもを乗せて離れてしまった時です。少しぐらいなら良いだろうと、子どもを車内に寝かせたまま買い物に行ったり用事を済ませに行ったりとしていませんか。車で待っている間に次のような事が起こります。

駐車場が炎天下なので、窓を閉めきっていると車内の温度が急上昇する。
日陰に車を停めていたが、太陽がまわり車に陽が当たるようになった。
ちょっとのつもりが長引いてしまい、長時間車の中で待たせてしまった。


 近年相次いでいた送迎バスの中に置き去りという悲しい事故がありました。こういった事故を防ぐため、内閣府等により緊急対策会議が行われました。2023年4月1日から『こどものバス送迎・安全徹底プラン』によって幼児等の送迎バスの安全装置の義務化が始まりました。対策は①所在確認や安全装置の装備の義務付け②安全装置の設置による対策③安全管理マニュアルによる対策④補助金による対策支援とおおきく4つに構成されます。今まで所在確認をすることは当たり前だったはずですが、安全装置を義務づけすることによってより確実に事故防止をできるようになります。ただ、これが慣れてくると再発する恐れがありますので定期的にマニュアル確認をするなど今後も対策は必要になってきます。

 今年も猛暑日が続きそうです。子どもは大人と違い、自ら体調の変化に気づくことは難しいです。子どもは暑さに弱く熱中症になりやすいため、水分・塩分の補給について大人が気をつけてあげましょう。また、少しの時間だからと言って車の中にお子様を乗せたまま離れることは絶対に避けましょう。